オーガニックスーパーAlnatura本社にあるベジタリアンレストラン

オーガニックスーパー・Alnatura

環境問題に関心のある人が多いドイツ。町には大小さまざまなオーガニック食品を扱う店があります。その最大手が、ドイツ全国68都市に143店舗を擁する（2022年2月現在）オーガニックスーパー・Alnatura。実は、ダルムシュタットはAlnaturaの本社所在地なのです。

2019年に完成したAlnatura本社ビル。建物中央は正面から反対側まで、さえぎる壁が一つもなく、頭上には3階までの大きな吹き抜け空間が広がり、木枠のガラス張り屋根からは自然光が1階のフロアまで差し込んでいます。自然素材を用つつも断熱性を高めた壁面建材、南側の松林からの風を効果的に取り込んだ換気システムなど、Alnaturaらしく、自然を生かした建物となっています。

自然と野菜の恵みを感じるレストラン

この本社ビル内にあるのが、ビュッフェスタイルのベジタリンレストラン・tibits。ここは、創業130年以上という、ベジタリアンレストランの草分け的存在としてチューリッヒやバーゼルなどスイス主要都市で11店を展開しているtibitsの、スイス国外唯一の店舗なのです。

レストラン入り口を入ってすぐのホールに、温かい料理、冷たいサラダ、チーズ、果物やデザートが並ぶビュッフェ台があります。

料理の90％がビーガン、10％がベジタリアンで、ラザニアやラタトゥイユなどおなじみのものから、北アフリカのハリッサやクスクス、中東のフムス、インドのサモサ、メキシコのグアカモーレ、そして日本の味噌を使ったものまで。世界各地の料理からインスパイアされた品々は一見しただけでは味が想像できないものもありますが、ちょっぴり勇気を出してトライしてみると、どれも意外といけるのです。

野菜だけでこんなに多様な味を楽しめることに驚きます。そして、そのおいしさは、やはり、使用されている野菜のクオリティの高さによるものであることに気づきます。サラダの葉一枚、ニンジン、蒸しただけのケールなども味が濃い。一緒に行った、普段は野菜嫌いのはずの小学生のこどももパクパクとつぎつぎ完食。気に入った料理をおかわりしていました。

ビュッフェですが一律料金の食べ放題というわけではなく、量り売り（？）です。お皿に料理を取ったらドリンクカウンターで重さを量ってもらいます。その際に入り口でもらったテーブルの番号札を見せて記録してもらい、何度かおかわりした後にお会計、といった流れです。ドリンクはドリンクカウンターでお好みのものを注文できます。搾りたてのBIOのオレンジジュースは特筆すべきおいしさです。

　テーブル席の間には小さな子供向けの遊び場もあり、子連れでも気兼ねなく、おいしい食事がゆったりとれる、ドイツでは希少な（！）レストランです。冬季以外は松林に面したテラス席も開放され、さわやかな風に吹かれての食事も可能。Alnatura本社の広大な庭は、小川が流れ、ベンチが点在し、ハーブや花が咲く自然散策路となっていて、食後の腹ごなしに最適です。自然と野菜の恵みを感じるレストラン・tibits。おすすめです。

文：ハイナー