2週間で6軒のホテルを泊まり歩いた当市在住者もなかなか稀なのではないだろうか。。この経験を誰かと共有したい!そうでもしないと報われない!というわけで、『いつか笑って読める日が来る(といいなぁ)、床上浸水でマンションに住めなくなった子連れによる、ダルムシュタット・ホテルレビュー』です。
プロローグ
日曜の夕方、突然シャワーの排水溝から水がゴポゴポいいながらあふれだした。わけもわからずモップとほうきとちり取りを手に、汚水を押し戻そうと格闘するも多勢に無勢、バスルームからリビングへと水はじわじわ広がり、やがてキッチンへ、ついには子供部屋に到達。自分の大事なものを抱えてベッドの上でじっとしていた子どもたちをベランダに避難させる。引き続き無駄な格闘。
隣人が呼んでくれた、排水設備業者の緊急措置担当技術者が水を止め、超強力な掃除機で部屋にあふれた汚水をあらかた吸い取り、「今晩はホテルに泊まったほうがいいね」と言った時、時計は夜11時を回っていた。
注記
家主が加入している保険の規定では、ホテル代は1日€100まで保障、食事代はおりない。下手に朝食がついているとホテル代還付の際、自動的に20%控除されてしまう!そんなのいやだ!というわけで、泊まったのは朝食なしプランのある、1泊€100前後のホテルばかりです。
B&B Hotel Darmstadt
日曜日~火曜日
(Zweifalltorweg 4, 64293 Darmstadt)
窓が小さくうす暗い部屋にダブルベッド1台と、2段ベッド1台が詰め込まれた息苦しいファミリールーム。
バスルーム入り口脇の壁にくっついた小さなテーブルで子ども2人が宿題し、朝食をとる。ぎゅうぎゅう。テーブル下にあった丸椅子で子どもがサーカスの玉乗りごっこをして暴れる。やめてくれー。
ホテル玄関前の喫煙所では二の腕タトゥー率の高い、屈強系な宿泊客たちがタバコを吸っている。駐車場は無料だけど満車になりがち。部屋の超重量級オートロックドアでうっかり指を挟んだ。すごく痛い。何でこんな重いの〜ドア。(耐火基準クリアのためらしい) 今思えばなぜこんな宿に3泊もしたのか。怒。
Greet Hotel Darmstadt
水曜日、木曜日
(Hilpertstr. 27, 64295 Darmstadt)
広い!窓が大きくて明るい!冷蔵庫なし、バルコニー付き。大きな円形テーブルがあり、やっとまともに宿題ができる、朝食が食べられる。泣。
ビビットなイエローのシャワーブースがすてき。大きすぎず小さすぎないドライヤー。いい匂いのシャンプー&ソープ、ふっかふかのタオル。癒される~。
駐車場は有料。ホテル前に路駐可だけどオフィス街ゆえ朝は路上争奪戦。
宿泊客もビジネス目的とおぼしき人が多し。子どもが朝食ビュッフェ(別料金)を食べたがったので食べてみる。普通。マリオットの系列らしい。若くてフレンドリーな(あるいはちょっと適当な)スタッフ。
Best Western Plus Plaza Hotel Darmstadt
金曜日
(An Kavalleriesand 6, 64295 Darmstadt)
冷蔵庫には冷えた無料ミネラルウォーターが2本。ありがたい。インスタントコーヒー、湯沸かし器、アイロンとアイロン台、使い捨てスリッパまである!ドイツで珍しい~。シャワーの湯の出がいまいち勢いなくてさびしい。
部屋は線路ビュー。電車の音が旅情を誘う…と夕暮れ時にしみじみしていたら、階下のディスコ?ライブ?の音楽が夜中1時まで聞こえてきて眠れず。金曜日の夜だからか?隣室の物音もよく聞こえるし。ベッドの上に置かれていた耳栓はこのためだったのか…、なるほど。
駐車場は有料だけど玄関前に短時間なら駐車可。
Hotel Mathildenhöhe
土曜日
(Spessartring 53, 64287 Darmstadt)
ティッシュなし、石鹸なし、洗面所にも部屋にもグラスすらなし。クローゼットにハンガー1 つがぶらさがるのみ。 ないないづくしでいっそ清々しい。
おしゃれデザインのガラス瓶に入ったミネラルウォーター1 本を無料サービスするより、バスルームの赤カビを何とかすべきでは…実用性より雰囲気重視派をターゲットにしているのかな?(と思っていたら、2023年、短期滞在アパートに衣替えしたらしい。)
窓の外には隣のビアガーデンの緑、ベランダにはありんこの行列、朝には鳥の声。世界遺産に徒歩圏内かつ高級住宅街に位置するにもかかわらず駐車場無料なのは偉大。
徒歩5分に朝食のおいしいおしゃれカフェあり。
Welcome Hotel Welcome Hotel Darmstadt City Center
日曜日
(Karolinenplatz 4, 64289 Darmstadt)
旧市街のど真ん中に位置し、州立博物館、ダルムシュタット工科大学キャンパス、旧宮殿に囲まれたロケーションが最大の売り。中庭ビューの部屋でも窓から世界遺産の「結婚式の塔」が見え、一瞬、観光客モードがオンになる。狭くてこぎれいなビジネスホテルっぽい。フロントのスタッフは若くて冷ややかな笑顔の人々。
Aspire Victory
月曜日
(2023年時点で閉業したらしい)
中庭に面した1階に位置するファミリールーム。暗くて湿っぽい…。シャワーのタイルのカビについ目がいってしまう。冷蔵庫あり。レストランにあるコーヒーマシーンが無料で使えて子供はココア、私はカプチーノを飲み放題。太っ腹。が、部屋の電気スタンドはつかない。ミネラルウォーター中瓶 1 本サービス。
Maritim Hotel Darmstadt
火曜日
(Rheinstr. 105, 64295 Darmstadt)
いよいよ大御所の登場!たぶん街一番の大規模ホテル。駅ビュー。チェックイン時にミネラルウォーター1 人 1 瓶くれた。ダブルルームを予約したはずだけど、なぜか 3 階のバリアフリーの4 ベッドルームにアップグレード。ボタンプッシュ式でお湯の出てくるシャワー。冷蔵庫、広いテーブル、白いふかふかタオル、ふんだんな、ちゃんとつく電気スタンド。流暢な英語でプロフェッショナルに仕事するフロント。
駅近ながら静かな室内。うーむ。これまでの中でベストなホテルかも。
(水曜日〜金曜日は連休で学校が休みだったので、疲れた体と心を癒しに他都市へ小旅行)
再び Maritim。
土曜日~
フロントの人は火曜に私たちが泊まったことを覚えていてくれていた。Booking.com で予約した価格より 20%も値引きしてくれた。なぜ。嬉しい。
ロビーに有料のコーヒーマシーンがあり、ミネラルウォーター2€、りんご 1€なども売ってる。
8階のコンフォートファミリールームという4ベッドの部屋。ドアの下の塗装がハゲてる。このホテルではややくたびれた部屋を「クラッシック」と称しているらしいがそんなことはどうでもよくなるぐらい広々した部屋。スペーシアス!子どもも大喜び。
1.5 リットルのペットボトルが入る大きさのミニ冷蔵庫があって大人も大喜び。何しろ外は 36 度の熱波なので。エアコンも温度調節可能。
行き交う路面電車とバスを窓から見下ろし、ダルムシュタット中央駅脇というロケーションを堪能する。会議室としても使用するのか、白々とした照明がたくさんあってやたらと明るく、子供が宿題やるのにちょうどいい。あとは電気湯沸かし器さえあれば、インスタント味噌汁も飲めて完璧。(と思っていたら、フロントにて貸し出ししてくれることが判明)
連泊時に部屋の掃除を事前辞退したら花の種をプレゼントしてくれた。
その後、短期滞在可の住居をようやく見つけ、ホテルを転々とする生活が(ひとまず)終わった。。。
というわけで、ダルムシュタットで子連れで避難生活送るなら、Maritim をお勧めします。ツイン、シングルルームは未見ですが、避難以外の観光でも出張でも Maritim はきっと快適なのではないでしょうか。確証はないですが。
ホテル選びで何を重視するかは人それぞれですが、立地、コスパ、サービス、部屋の広さ、清潔さにおいて、個人的にMaritim にダルムシュタットベストホテル大賞を授与いたします。住居を突如失った悲しみが、有能なフロントのご婦人の笑顔と人数分の無料ミネラルウォーターと値引きで、ほんのひととき癒されました。ありがとう、Maritim!
エピローグ
住居なし&朝4時起きの功名
駅前歩道上のゴミ箱がいかに空になるのか、地上8階からつぶさに観察できたこと。
普段住んでいる街全体を高い場所から見渡し、どうやって毎日朝が街にやって来るのか見れたこと。
良いこともあった、と思うようにしよう。
おまけ
2023年夏、 Maritim を上回るホテルを発見!
その名も。
Premier Inn Darmstadt City Centre hotel
(Ida-Rhodes-Straße 3, 64295 Darmstadt)
なんと!スタンダードツインにエキストラベッドを組み合わせて大人2名+15歳以下の子ども2名で1部屋料金のみ(2023年夏時点で69ユーロ)で泊まれてしまう!ちなみにこのファミリープランはBooking.comでは4名で検索しても出てこず、公式サイトでのみ予約可能でした。一手間かけないとこのコスパの良さは発見できないという、粋な?仕組み。(現在はBooking.comではPremier Inn Darmstadtは予約できなくなっているようです)
さらに。朝食は1名約17ユーロと一見お高めの料金ですが、大人1名につき子ども2名が無料!
2023年6月オープンほやほやなため、バスルームはピカピカ、シーツや絨毯もまっさら。駐車場が有料なのが現在のところ思いつく唯一の欠点。A5の高速道路出口からもすぐで、フランクフルト国際空港からの利便性もばっちり。朝食は、カット果物などのデザート、ヨーグルトなどはWECKの蓋つきガラス容器に小分けにされているのを各自が取るスタイルで、清潔かつサスティナブル!
ダルムシュタットでコスパ最強のホテルは今のところここではないでしょうか。
文:ハイナー
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