渡独が決まったらまずは家を見つけたいところ。ですが、大都市は慢性的に空き物件がなく、中都市アーヘンでさえ家探しは激戦です。アパート探しの流れは日本と同じですが「進み方・対応の仕方・契約までの日数」は日本人の想像を超えます。入居してからもすぐに生活がスタートできるわけではなく、電動ドリルで電気やカーテンを設置したりとやることが満載です。右も左も前も後ろも全てことなるドイツのアパート探しですが、事前に重要ポイントを押さえてすすめるだけでも時間もストレスも短くなります。
ドイツでの物件探し
ドイツでの物件探しは、日本と同様にインターネット検索から始まります。検索後、内見の連絡を取り、気に入れば契約するという流れが一般的です。ドイツには、家具無し・家具付き両方を扱うサイト、家具付き専門のサイト、学生向けのサイト、シェアハウス専用サイトなど、用途に応じた様々な検索サイトがあります。ここでは、ドイツで最も多く利用されている大手物件検索サイトImmoScout24をご紹介します。まずは、ImmoScout24を活用し、その後、必要に応じて検索の幅を広げていくといいです。
物件検索サイト
ドイツ人も利用する大手不動産検索サイト ImmoScout24 で物件探しを始めましょう。掲載物件数が圧倒的に多いため、最初は「簡単に見つかりそう!」と錯覚しがちですが、注意が必要です。中には期限が切れている物件や、すでに契約済みのものが掲載されたままになっている場合もありますので、惑わされないようお気を付け下さい。
掲載されている物件には、不動産会社が取り扱うものと、貸主が直接掲載しているものがあります。ほとんどが「家具無し物件」で、世界中からアクセスがあるため、競争率は非常に高いです。
気に入った物件があれば、ImmoScout24を通じて貸主に直接メッセージを送信できます。定型文はないため、自分で文面を考える必要がありますが、シンプルな内容で問題ありません。「内見を希望します」といった簡潔な文章で十分です。なお、「ドイツ語でメッセージを書く方が返信率が高い」のでおすすめです。
内見依頼の簡単な文例
質問例
Ich interessiere mich für Ihre Wohnung. Könnte ich die Wohnung anschauen?
(物件に興味があります。内見させていただけますか?)
家主からの返信予想
Tut mir sehr leid(申し訳ありません) → 内見不可
Ja(イエス) → 内見可能
物件情報を確認するときのポイント
【キッチン付き(Einbauküche)】
検索条件でEinbaukücheにチェックを入れます。今まで物件数が100件だったのに一騎に約10件と件数が減ります。ドイツの賃貸物件にはキッチンはついていないので一般的です。
【貸主直物件(von privat)】
ドイツは、不動産会社経由物件と貸主直物件があります。「von privat」の場合は貸主直物件になりますので、連絡先は家主さんになります。不動産会社が仲介していないので、その分安かったり、連絡がすぐ取れたりするのですが、ご自身で全てする必要があります。
【家賃表示(Kaltmiete / Warmmiete)】
ドイツの家賃表示には、「共益費込み(Warmmiete)」と「共益費無し(Kaltmiete)」の2種類があります。安い!と思っても、実際は共益費無し(Kaltmiete)の金額である場合がほとんどです。さらに、共益費には水道・暖房・インターネットなどが含まれている場合と含まれていない場合があるため、注意深く確認する必要があります。
例:
Kaltmiete(基本家賃):800ユーロ
Warmmiete(合計家賃):1,050ユーロ
共益費:250ユーロ(水道・暖房込み)
【入居日(Bezugsfrei ab)】
稀に「2024年10月1日〜2025年3月末まで入居可」といったように、入居期間が限定されている物件があります。これは、家主がその期間だけ家を貸し出すケースであり、比較的家賃が安いことが特徴です。ただし、安さに惹かれて契約すると、短期間で再び引越しが必要になる場合があるため注意が必要です。
即入居可 = ab sofort
入居日指定 = 01.12.2024
入居期間限定 = 01.10.2024~31.03.2025
【部屋数(Zimmer)】
日本とは異なり、リビングも1つの部屋として数えます。例えば、Zimmer1と書かれていたらワンルーム、Zimmer2ならリビングと寝室の2つになります。
【キッチンの有無】
日本ではほとんどの物件にキッチンが備え付けられていますが、ドイツではキッチン付きのアパートは非常に希少です。検索条件に「キッチン付き」を追加すると、検索結果が大幅に減少し、キッチン無し物件の1/10程度になることもあります。
【保証金:Kaution】
保証金(Kaution)は、通常Kaltmieteの3ヶ月分が設定されます。退去時には修繕費などを差し引いた金額が返金されますが、修繕の程度によっては全額返金されない場合もあるため、事前に契約内容を確認しましょう。
【浴槽・エレベーターの有無】
小さなお子様連れの場合、浴槽やエレベーターの有無は特に重要なポイントです。事前に設備の詳細を確認しておきましょう。
【場所】
辺鄙な場所にある物件は空いていることが多いですが、「通勤・通学には不便」と感じる可能性があります。通勤や通学の利便性をしっかり考慮した上で契約を検討しましょう。
内見依頼を出した際、返信がすぐに来たり、ドイツ語で出したのに英語で返信、そんなときは要注意です。前家賃や保証金の振込詐欺の可能性があります。詐欺物件は掲載情報に違和感があります。例えば、人気地区で家具付きアパート650€/80㎡、室内もリフォーム済みで超オシャレ、、、激戦のドイツでこんなステキな物件、十分怪しいのですが、なかなか物件が見つからないと判断力が鈍ります。好条件の場合は、掲載情報と返信内容を再度確認してください。
内見時の重要ポイント
【キッチンの調達方法と食洗器の確認】
キッチン無しアパートの場合、キッチンを購入するか前住人から引き継ぐことになります。内見時に現住人がいればその場で交渉し、不動産会社仲介の場合は交渉をお願いすると良いです。キッチン有りの場合、食器を洗う習慣がないドイツではシンクがとても小さいので、食洗器が付いているかを確認するといいです。
【エレベーター無し物件の生活状況の確認】
築浅の物件にはエレベーターが設置されていることが一般的ですが、古いアパートでは設置されていない場合が多いです。特にエレベーターのない建物の上階に住む場合、日常生活が予想以上に大変になることも。以下のような状況では、エレベーターがないと不便を感じるかもしれません。エレベーターの有無が生活に大きな影響を与えることもあるため、しっかり確認するといいです。
ベビーカーの運搬
赤ちゃんがいる家庭では、ベビーカーを階段で運ぶのは大変な負担になります。
洗濯物の移動
地下に共用の洗濯室がある場合、洗濯物の運搬が一苦労です。
重い荷物の持ち込み
買い物帰りや引っ越し時に、重い荷物を運ぶのは大変です。
自転車の保管
玄関前や自宅の近くに自転車を置く場合も、階段を上り下りする必要があると不便を感じることがあります。
【周辺環境の確認】
また、家の中だけでなく周辺環境のチェックも忘れずに。家族連れの場合は徒歩圏内にスーパーがあればいいですし、車を使わない場合はバス停までの距離も大切です。街中でしたらゴミのポイ捨てや騒音も確認した方がいいです。
【家主さんの確認】
家主さんの人柄を見ることは非常に重要です。アパートを借りた後にトラブルは必ずありますので、家主さんか不動産会社に頼ることになります。内見時に少しお話できるといいですね。
契約書の注意点
契約書はドイツ語で書かれていますので、必要な箇所を見落としてしまう可能性があります。家賃、解約、損害の責任範囲などの重要事項については、翻訳してしっかり把握しておくことが大切です。
ドイツは全て契約書で決まります。非常に契約書は大切なので、流し読みをしないでしっかりと全部読み理解するといいです。
入居時の注意事項
入居日は、家主さんまたは不動産会社とアパートをチェックし、入居確認書にサインをします。サインした時点で全て受け入れたことになるのでサインは慎重に!しっかりと入居日に下記を確認し、壊れているものは家主さんに報告し修繕してもらいましょう。
水道やガスメーターの記録
キッチン扉の開閉確認
部屋のカビチェック
窓の鍵・開閉チェック
鍵の本数の記録
物件探しで日本と異なる点
日本のように、ネットで検索して内見依頼のメールを送ればすぐに日程が調整できたり、不動産会社に行けば席に案内されて、お茶を飲みながらいくつか物件を提案してもらえる、といったことはドイツではありません。
どこの地域も慢性的に空き物件がない
10年前と比べて、現在(2024年)は驚くほど物件探しは厳しくなっています。もともとドイツ全体で物件不足だったところに、コロナや戦争、物価上昇といった影響で家賃が高騰し、引っ越す人も減っている一方で、海外からの入国者は多く、どこの都市でも物件がない状況が続いています。
内見依頼に返信はほぼ来ない
日本人だけでなく、不動産会社経由、家主さん直物件どちらも内見依頼メールにはほとんど返信がありません。英語で送った場合はなおさら来ません。返信があっても、だいたい2〜4週間後くらいで、忘れた頃にやっと来ます。
内見獲得までに要する時間
内見依頼を出しても、断りのメールか返信なしかなので、内見予約を獲得するまでにはかなりの時間を要します。1件獲得するのに半年かかる人もいるので、途中かなり凹むと思いますが、めげずに出し続けてください。日本からご自身でやる場合、ひたすらメールを出す以外、内見予約を獲得できる方法はありません。
不動産会社の対応
日本とは違い、「お客様ファースト」ではないので、ホスピタリティはなく、こちらからアクションを起こす必要があります。たとえば、「返信待っててね」と言われてそのまま待っていると、返信は来ず、、、確認の連絡をしても「待っててと言ったでしょ!」と怒られたり、、、理不尽ですが、これが普通なので、めげずに連絡してください。
また、ネット以外では内見予約を受け付けていないことが多いので、その場合、不動産会社に直接行っても追い帰されます。
不動産会社と家主直接契約の2パターン
日本は不動産会社を通して物件を借りる人がほとんどですが、ドイツでは個人で直接貸すことも可能です。個人:不動産会社=6:4です。
KaltmieteとWarmmiete
家賃は、Kaltmiete(部屋だけの値段)とWarmmiete(部屋と共益費、光熱費を含んだ値段)があります。物件情報のところにどちらも必ず書いてあるので確認してください。特に、Warmmieteの中に暖房費やインターネットなど何が含まれているのかが大切なので見落とさないようにしましょう。
Kaltmieteだけ見るととてもお手頃な値段に見えるのですが、実際にはWarmmieteを払うので、一気に値段があがります。お気を付け下さい。
不動産会社の仲介手数料はない
数年前に法律が改正され、不動産会社に仲介手数料を支払う必要はなくなりました。でも、どこかで費用が上乗せされているのは事実なのですが、、、もし、不動産会社から「仲介手数料はいくらです」と言われた場合、きっぱりと「払う必要はありません」と伝えてください。日本人は違和感があってもつい我慢してしまいがちですが、ドイツに住むのであればしっかり主張することが重要です。
弊社のような仲介業者はサポート料金が発生しますので、混合しないようにお気を付け下さい。
アパート探しの最も激戦時期
学生にとって、8月から10月にかけての物件探しは超激戦です。日本で物件が見つからず、渡独してから探そうとする学生さんもいますが、結局見つからずにホテル暮らしを続ける人もいます。必ず、8月前半までに物件を確保しておくといいです。
企業や医師、大学関係者の研究留学の場合は、研究開始時期がそれぞれ異なるため、時期は関係ありません。その代わり、家族向けの物件、特に80㎡前後の手頃な価格帯の物件に人気が集中するため、その広さや価格帯で探すのは非常に難しいです。また、家族の人数によっても条件が変わるため、家族向けの物件探しは一年を通して大変です。
家具付きと家具無しどちらがいい?
家具付きアパートは不動産会社取り扱いが多いので比較的楽に探せます。また、水道やガスなどが含まれているので入居・退去が煩わしくありません。一方で、広さや場所を考えた場合、家具無しと比べるとかなり割高です。
家具無しアパートは個人と不動産会社が取り扱う両方があります。お手頃な家賃で、広さ・立地共に満足する物件が多いですが、非常に内見依頼が殺到するので激戦です。
長期で住むなら家賃も安く広さも十分にある「家具無し物件」がおすすめですが、ドイツの家具無し物件は「本当に何もない」ので生活を立ち上げるまでに1ヵ月はかかります。詳しくは下に書かれている「ドイツのアパートの特徴とDIY」をお読みください。
プロに頼む?自分で探す?
とにかくドイツの物件探しはトラブルが多いです。入居した後も必ずトラブルは発生します。そのトラブル対応が大変なので、できる限り事前に回避できるプロがおすすめです。ただ、現地にいないと意味がないので日本からのみサポートする企業は避けたほうがいいです。
社会人の方、特に家族連れの方は、物件探しの時間と労力を考慮すると、迷わずプロに依頼することをおすすめします。
学生の方は比較的時間に余裕があることが多いので、自分で数ヶ月頑張るといいと思います。ただし、渡独前1ヶ月でも決まらない場合は、すぐに依頼した方がいいです。「渡独してから決めよう」と思っても、渡独後すぐに物件が決まることはないです。
アパート探しを成功させるポイント
どうしたら無事に物件を見つけられるのでしょうか?その鍵となるのは、「内見なしで即契約する覚悟」と「貸主に安心感を与える準備」です。どちらも内見依頼に返信が来ることが前提ですが、ここが最も重要で、以下の2点に注意しながら進めることが成功への秘訣です。
内見の即決即断
内見して部屋を決めることは日本では一般的ですが、ドイツではそのペースでは物件を押さえることが難しいことがあります。内見日を決めて、実際に内見に行くと、30分後には「他のお客様が契約しました」と言われることも珍しくありません。超激戦時期&物件の場合、物件詳細や写真で問題がなさそうなら、即決することが必要です。ただし、詐欺も横行しているため、十分に、十分に、十分に注意を払いながら契約を進めてください。
貸主に安心感を与える材料を準備する
複数の内見希望者がいる場合、最初に内見したからと言って必ず契約できるわけではありません。大切なのは、「この人なら安心して貸せる」と貸主に思ってもらうことです。特に、家賃を支払えることを証明するための書類は重要です。
【家賃を支払える証明書】
企業からの研究留学生の場合はあまり心配いりませんが、企業からではない研究留学生や学部生にとっては非常に重要です。研究留学のために一旦職を退く場合は無職になるので、いくら日本で信頼のある職業に就いていたとしても、ドイツでは考慮されません。しっかりと家賃を支払える能力を証明する必要があります。
家賃の2~3倍の金額と滞在期間が記載された証明書を用意してください。ただし、証明書の種類によって準備にかかる時間は異なります。最短でも3日、最長で1ヵ月ほどかかることがあるので、焦らず余裕をもって準備しておくことをお勧めします。
【身分証明書の提示】
研究留学生の場合、「Invitation letter」を提出すると信頼を得やすいです。学部生の場合は、入学許可証を提出するといいです。
【騒音や破損の懸念がないことの証明】
お子様連れの方は特に注意が必要です。お子様一人なら問題ないことが多いですが、二人以上になるとハードルが高くなることがあります。騒音や破損のリスクがないことをアピールし、貸主に安心感を与えるようにしてください。
ドイツのアパートの特徴とDIY
ではここからは、物件が見つかった後について詳しく説明していきます。
ドイツでは、「入居日からすぐに生活スタート!」ということにはなりません。日本では当然と思われる設備が、ドイツでは整っていないことが多々あります。例えば、電気の配線はむき出しでぶら下がった状態、カーテンレールは未設置、さらにはキッチンそのものがないことも珍しくありません。すべてを一から整えなければ、快適な生活を始めることはできないのです。生活が軌道に乗るまでには約1ヵ月の準備期間を見込んでおくと安心です。
DIY必須!ゼロから整えるドイツの賃貸物件
アパートに備え付けられていないもの |
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電気のシーリング |
カーテンレール |
キッチン |
収納 |
洗面所 |
靴箱 |
入居後直ぐに購入すべきもの |
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電動工具 |
照明ひとつでこんなにも大変!
日本では、照明器具を買って「カチッ」と取り付ければ、すぐにパッと明かりがつきますよね。でも、ドイツのアパートには、天井にシーリング(取付口)が備わっておらず、代わりに配線が天井からぶらりと下がっているだけなのです。電気の配線など、日本では理科の実験以外で触れる機会がない方がほとんで、戸惑うこと間違いなしです。全部屋ご自身で設置する場合は3日ぐらい、業者に頼むと半日です。
照明をどこに取り付けるか決めたら、電気と天井(または壁)の間に板を挟んだ方がいい場合、長さや厚さをしっかり計測です。微妙にずれると見栄えがいまいちなんです。電気、板、そして電動ドリルを準備して、いざ天井に穴開け。照明器具を取り付ける際、緑と赤の配線を間違えないようにお気を付けください。
硬い天井の場合、電動ドリルが入りにくく刃が折れてしまうことがありますので、ゆっくり進めてください。また、天井から粉状の破片が落ちてくるので、少々大変ですが、掃除機で吸いながら作業すると部屋が汚れません。
キッチンなし!
ドイツでは、8割以上の賃貸物件にキッチンが備え付けられていません。内見で「こちらがキッチンです」と案内されても、そこにあるのは何もない空間だけです。
キッチンを手に入れる3つの方法 | ポイント | おすすめ度 |
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現住人から引き継ぐ | 譲渡価格を交渉してお得に引き継ぎ | 1 |
家主さんにキッチンを付けてもらう | キッチン代を家賃に含めてもらう | 2 |
IKEAやホームセンターなどで購入する | IKEAやホームセンターで購入 | 3 |
最も手軽なのは、現住人から引き継ぐことです。交渉は面倒ですが、すでに設置されたキッチンをそのまま使えるので、労力も少なくトラブルも回避しやすいです。
次におすすめなのは、家主さんにキッチン設置してもらうことです。家主さんが付けてくれれば、設置の労力はもちろん、故障したときは家主さんが修理してくれるので、面倒がありません。ただ、キッチン代をどうするかは交渉する必要があります。
最後は、自分でキッチンを購入することです。キッチンの幅を測って、IKEAやホームセンターで購入し、設置する。この一連の流れ、一見簡単そうですが実際にはかなりの時間と労力がかかります。また、退去時には処分や次の住人への譲渡も考えなくてはいけません。さらに、費用も2500~5000ユーロほどかかるため、あまりおすすめはできませんが、長期滞在なら好きなキッチンを設置できるのでいいですね。
カーテンもDIY?!
日本では、窓の寸法を測ってカーテンを購入すればすぐに取り付けられますが、ドイツではカーテンレールなんてどこにも見当たりません。
窓枠の寸法を測り、カーテンレールを取り付けるための板を購入します。電動ドリルを使って窓枠周辺の壁に穴を開け、板を取り付け、そこにカーテンレールを設置します。電気同様、一見簡単そうに聞こえますがかなり時間と労力がかかります。
前の住人から引き継ぐことが一番いいのですが、カーテンはあまり引き継いだ人を見たこととがありません。
ちなみに、ドイツでは多くの人がレースカーテンを使わないため、厚手のカーテンだけで生活していることが多いです。夜、明かりをつけると部屋の中が丸見えなのですが、ほとんど家が同じなので気になりません。
お風呂なし物件
シャワーのみで浴槽がないアパートは多いのですが、まれに浴室そのものがないアパートがあります。「浴室がない?!」と驚くのですが、IKEAやホームセンターで購入し、業者に設置してもらいます。決してご自身で挑戦はしない方がいいです。設置してもらうにしても、非常に時間と手間がかかるので、どんなに魅力的な物件でも、浴室があるアパートを選ぶといいです。
ゼロから作る洗面所
洗面所は、浴室に併設されていますが、水道の位置があるだけで、洗面台や収納はありません。そのため、ご自身で用意する必要があります。電気やカーテン同様、サイズを計測し、IKEAやホームセンターで購入し、ご自身で設置するか、業者に設置してもらいます。
生活する上で洗面所はかなり重要度の高い空間だと思いますので、すぐに利用できるように準備を進めておくといいです。
トイレはあるよね?
トイレは設置されていますが、ペーパーホルダーや手洗い場所、棚はありません。そのため、必要なものは自分で取り付ける必要があります。日本人には理解が難しいですが、たまに、便座がない場合があります、、、IKEAやホームセンターで購入しましょう。
靴・鍵の置き場所はどこ?
日本では、どの賃貸物件でも当たり前のように靴箱が備わっていますが、ドイツではもちろんありません。靴箱がないと、玄関に靴が直置きになり、家の中に砂や泥が入り汚れてしまいます、、、また、重要度は低いかもしれませんが、鍵置きもないので、こちらは壁に取り付けると便利です。
収納ゼロの衝撃!
ドイツのアパートには、クローゼットや靴箱、傘立て、コート掛け、バスルームの棚など、いわゆる収納スペースは一切ありません。また、倉庫がある物件が多いのですが、もちろん倉庫にも収納はなく、自分で揃える必要があります。地震がないので高さのある収納でも問題ありません。退去時には処分が必要になりますので、処分しやすいタイプのものがおすすめです。
ホームセンターで揃えよう
電動ドリルや工具、カーテンレールなどは、ホームセンター「BAUHAUS AACHEN」で手に入れることができます。電動ドリルは、DIYや家具の取り付けなどで頻繁に使うことになるので、まさに必需品です。
住む前に知っておこう!ドイツのアパートの特徴
ここからは、住んだことのある人にしか分からないアパートの特徴について説明します。ドイツの賃貸物件は、壁に穴を開けてもオッケー、洗濯機は地下、湯船はなし、と日本とはかなり異なります。住み始めてから驚くことがたくさんありますが、事前に知っておくとよりスムーズに新生活がスタートできます。
賃貸でも壁に穴を開けてもOK!
日本では賃貸物件に穴を開けるなんて考えられませんよね。絵を飾ったり、照明を取り付けたり、家具を固定したり、全て穴をあけるのでダメですが、ドイツでは問題ありません。退去時にその穴を埋めて、壁を元の色に戻せばOKなのです。ただし、道具やペンキを自分で準備して修繕しなければならないので、退去時は少し手間がかかります。
自分で修繕する場合は、「まぁキレイになったな」くらいで終わりにし、残りは保証金から差し引いてもらうことがいいです。どれだけ丁寧に修繕しても、プロの仕上がりにはかなわないので、最初から保証金で修繕してもらうのも有りですね。
洗濯機はどこ?
ドイツのアパートでは、洗濯機と乾燥機がセットで地下に設置されていることが多いです。洗濯物は大きめの袋や洗濯籠に入れて地下へ持って行き、洗濯終了後、乾燥機があればそのままポン、ない場合は地下に併設されている物干し竿に干すか、部屋に持ち帰って干します。この作業、実は結構重労働なんです。ドイツのマンションはエレベーターがない場合が多いので、エレベーターなし、かつ5,6階層に住む方にとっては、非常に持ち運びが大変なんです。できる限り、洗濯後は地下にそのまま干すといいです。
玄関は砂だらけ!
ドイツの玄関は、日本のような段差はなく、靴を脱いでも泥や砂がそのまま家の中に入ってしまため、頻繁にホウキで掃く必要があります。また、玄関と家の中の境界がはっきりしていないので、家庭ごとに靴を脱ぐ場所が異なります。玄関扉の外に靴置きを設けてそこで脱ぐ人もいれば、家の中の玄関近くに靴箱を置く人もいます。また、玄関周りが狭い場合には、廊下に靴を並べていることもあります。
玄関の境界をはっきりさせたい場合は、ドアの前に足ふきマットを置くのがおすすめです。ここまでが玄関で靴を履いてもいい場所、ここからが家の中で靴を脱ぐ場所と、誰が来てもわかりやすくなります。特に子供には見た目で分かるので良いですね。
余談ですが、ドイツ人を家に招待すると、なぜか玄関扉の外で靴を脱ぐ人が多いです。なぜそこで脱ぐ、、、と言いたいですが、おそらく日本人はキレイ好きだから汚してはいけない、との発想からだと思います。玄関で脱いでほしいですね。
バギーはどこに置く?
小さいお子さんがいる場合、バギーは必須です。でも、どこに置いていいのかわからない物件が多いのも確かです。エレベーターがあれば玄関前や家の中でも問題ないのですが、無い場合は悲惨です。バギーを担いで階段を上り下りする必要があり、かなりの重労働、かつ子供が寝てしまったときはそのまま担ぐ必要があるため腰がやられます。アパートによっては、エントランスにバギーを畳んで邪魔にならないように置ける場合があるので確認するといいです。ルールを守らないと家主さんやご近所さんに怒られます。
湯舟にはつかれない?!
浴槽がある家は意外と少ないのですが、浴槽があっても、日本のように浴槽と洗い場が分かれてはいません。浴槽の上にシャワーが取り付けられているので、浴槽の中で体を洗います。日本人のように、ゆっくりと湯舟に浸かるのではなく、子供たちが水遊びを楽しむ場になっています。浸かる場合は、まず体を浴槽の中で洗ってからお湯を溜めるか、湯舟に浸かってから体を洗うことになるので、少々手間がかかりますね。
最近は、小さなシャワー室と、離れた位置に浴槽があることが多いです。シャワー室で体を洗った後、濡れたまま浴槽に移動するので床はビショビショになりますが、、、慣れてしまえば問題ありません。
余談ですが、ドイツでは、毎日お風呂に入る習慣はありません。近年の猛暑の影響で、夏場は毎日入る人も増えていますが、冬はそれほど入りません。
安心の住人専用の中庭
多くのマンションには住人専用の中庭があります。ドイツのアパートは、隣接する建物の間に隙間がないため、中庭は外部からの侵入が難しく、子どもを遊ばせるにはとても安全な場所です。安心して子どもを遊ばせながら、ちょっと一息つくことができます。また、中庭ではお誕生日会やバーベキューを開くことができるので、ぜひ活用してみてください。
賃貸物件なのにペットOK!
ほとんどの賃貸物件(家具付き・家具無し両方)はペットOKです。特に小型犬の場合「犬がいる場合は契約できません」と記載されていても、家主さんと交渉すればOKになることが多いです。
ただし、ドイツでは、休日は家でゆっくり過ごし、庭で食事を楽しんだり、窓を開けて本を読んだりすることが一般的です。そのため、マンション内で犬が頻繁に吠えると苦情が来ることもあるので、周囲への配慮も忘れずにしてください。
Ruhezeit(ルーエツァイト)
ドイツの生活情報でもふれていますが、ドイツには、Ruhezeit(ルーエツァイト)と呼ばれる「静かに過ごさなければいけない時間」があります。これは、マンションやアパート毎に決められているルールで、マンションの契約書や規約に必ず書かれています。
Ruhezeit(ルーエツァイト)は、平日の夜22時から翌朝6時または7時、昼の13時から15時、そして日曜日や祝日の終日に適用されます。この時間には、洗濯機や掃除機を使用してはいけないなどです。
Ruhezeitの詳細については、ラジオ関西トピックスラジトピでの取材記事をご覧ください。
安息時間以外にもドイツにはいろいろなルールや習慣があります。ドイツの生活スタイルについて知りたい方はこちらをお読みください。
冬でも暖かいドイツのアパート
賃貸に限らず、ドイツの住宅は気密性がとても高く、家の中を暖かく保つように設計されています。そのため、外が寒くても家の中は快適に過ごせます。ただ、通気口が少なく、空気がこもりやすいので、湿気がたまります。放置しておくとカビが生えるので、真冬でも一日に何度か窓を開けて換気する必要があります。実際、家だけでなく、大学や企業でも、冬の寒い日でも、ドイツ人は頻繁に窓を開
まとめ
ドイツのアパート探しは非常に大変で、時間と労力、根気のいる作業になります。中には家族総出で探している人もいます。内見依頼の返信はほぼ来ない、家主さんに信頼してもらうための安心材料、など日本との違いをしっかりと抑えておくといいです。また、日本と違い、入居後すぐに生活を始められるわけではないので、何をDIYしなければいけないのか、事前に購入するものや業者の手配などをしておくといいです。
文:レンガ
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