借主に不利な賃貸契約、突然の家賃値上げ通告、身に覚えの無い破損個所の修理代請求...など、賃貸物件では様々なトラブルが起こり得ます。ドイツ語が話せない上にドイツの法律に関して知識が無い場合、家主や不動産会社と交渉をするのは至難の業です。弁護士に頼りたいところですが、弁護士保険に入っていない限り、個人で弁護士を雇う費用は高額です。
そこで、賃貸トラブルが起きた時に備えて、Mieterschutzverein (借主保護協会)の会員になるという方法があります。
Mieterschutzverein (借主保護協会)
Mieterschutzverein(借主保護協会)とは、ドイツで賃貸物件に住む人(借主)をサポートする団体で、以下のサポートを提供しています。
- 法律相談
家賃や契約内容、敷金の返還トラブルなど、賃貸契約に関する法律的な問題についてアドバイスを受けられます。 - トラブルの仲介
貸主(大家さん)との間で発生した問題について、協会が仲介役となり、解決に向けたサポートをしてくれます。 - 家賃の適正チェック
自分が支払っている家賃が地域や物件の相場に合っているか、また不当な値上げがされていないか確認できます。 - 裁判時のサポート
万が一トラブルが裁判に発展した場合、弁護士の紹介やサポートを受けることができます(多くの場合、協会の会員は法的保険に加入することが推奨されます)。
どうやって利用するの?
Mieterschutzvereinを利用するには、会員になる必要があります。通常は年会費を支払うことで、相談やサポートを受ける権利を得られます。入会後すぐにサポートを受けられるわけではなく、一定の待機期間がある場合もあるので注意が必要です。
誰におすすめ?
特にドイツで初めて賃貸物件を借りる人や、法律や契約に詳しくない人にとって、非常に心強い存在です。借主の権利を守るための専門的な知識を持った団体なので、問題が起きたときに頼れる安心感があります。
アーヘンのMieterschutzverein
アーヘンに2年以上滞在される場合は、入会をおすすめします。年会費も比較的手頃なため、気軽に入会でき、安心感を得られます。
費用 | 初期登録費用15€ + 年会費99€ |
契約期間 | 最低契約期間は24ヶ月 解約は、最低契約期間終了の3ヶ月前までに書面にて通知 契約期間満了の3ヶ月前までに解約通知がない場合、契約期間はさらに12ヶ月延長される |
賃貸トラブル後の 入会の可否 | 可能。ただし、入会前及び入会後3ヵ月の期間に始まった家主との裁判に関しては、裁判費用は自費。それ以降は弁護士費用保険が適用可能 賃貸トラブルが裁判に発展してしまい、弁護士(相手方の弁護士を含む)の訴訟費用および法定費用を負担する必要がある場合、契約書および弁護士費用保険約款の範囲内で保険が適用される 自身で負担する必要があるのは、被保険事由ごとの超過分のみ |
メリット | 賃貸専門の法律家に相談可能 |
家主との書面でのやり取りを代行してもらえる 書留郵便や返送用封筒などの費用は別途支払う必要がある | トラブルに対する対処法を教えてもらえる|
弁護士費用保険に加入可能 | |
裁判になってしまった場合でも裁判費用は少額で済む 入会から3ヵ月間は弁護士費用保険は適用できません。 | 協会の会員になると、自動的に弁護士費用保険に加入される
入会方法
申込み | オンライン |
必要な物 | ドイツの銀行口座 初回登録料、会費、通信費等は自動引き落としに設定される |
支払い方法 | 自動引き落とし 自動引き落とし以外を希望する場合、こちらから、”Beitrittsunterlagen als Download (Privatmieter)”をダウンロードし、記入・署名したものを郵送する |
会員証 | 自入会申込書と初回登録料・会費が受理された時点で発行される |
相談方法
予約 | 電話 通常8~10日後の予約 |
相談時間 | 1回20分 |
急ぎの相談や 簡単な質問 | 月~金 10 : 00 ~ 11 : 00 月~木 16 : 00 ~ 17 : 00 上記時間帯で予約無しで電話で弁護士と話すことが可能 |
英語 | 可 |
まとめ
アーヘンに2年以上滞在する場合は、様々な賃貸トラブルに備えてMieterschutzvereinに入っておくと安心です。会員になるためにはアーヘンでの住所が必要ですので、住民登録が終わった頃に入会を検討するとよいでしょう。我が家は近所のドイツ人夫婦に教えてもらって会員になったのですが、協会の弁護士のおかげで家賃の値上げや管理費の追加請求を何度も回避することができました。退去時にトラブルが起きることも多いので、弁護士が味方についていると引っ越しの際も心強いですね。
文:プリンテンちゃん