ドイツは、規律を重んじ、静寂を大切にする国として知られています。静かにしなければいけない時間があったり、日曜日は労働禁止など、興味深い法律もあります。また、環境保護への意識が高く、ペットボトルや瓶のリサイクルを促進するデポジット制度や、高速道路での速度無制限も特徴的です。そんなドイツでの暮らしを快適にするために、知っておきたいポイントをご紹介します。
気候
夏の平均気温は25度前後で湿度も低く、日本の春から初夏に似た過ごしやすい気候です。夕方には涼しい風が吹き、外で過ごすのが気持ちよく感じられます。冬は都市部でも平均気温が0度前後と寒くなりますが、クリスマスマーケットやカーニバルを楽しむにはぴったりの季節です。春と秋は肌寒いため、暖房やコートが欠かせません。
地域によって気温、降水量、日照時間がかなり異なりますので、下記の外部サイトをご覧ください。
生活スタイル
朝は早く、幼稚園は7時半、学校は8時、企業も早朝から業務開始です。パン屋、スーパーの開店時間も早く、通勤・通学途中に立ち寄れるので便利です。企業の終業時間はだいたい17時で、残業が少なくワークライフバランスが重視されています。休日は家族との時間を大切にし、日曜日は安息日かつ閉店法(営業禁止の法律)のため店舗は休業、街は静まり返っています。
夏は涼しく日が長いため、家族でのんびりとした時間を楽しめます。冬は寒さが厳しいものの、クリスマスマーケットやカーニバルなどドイツならではのイベントがあり、温かい雰囲気に包まれます。
安息時間:Ruhezeit(ルーエツァイト)
ドイツには、Ruhezeit(ルーエツァイト)と呼ばれる「静かに過ごさなければいけない時間」があります。特にマンションやアパートに住む人々にとって、このルールは重要です。マンションの規定によって定められていることが多く、これを守らないと賃貸契約の解除や警察からの注意、さらには罰金が科されることもあります。
Ruhezeit(ルーエツァイト)は、平日の夜22時から翌朝6時または7時、昼の13時から15時、そして日曜日や祝日の終日に適用されます。この時間には、洗濯機や掃除機を使用してはいけないほか、犬の鳴き声も控える必要があります(とても難しいですが)。州によってルールや時間帯が異なるため、具体的な規定はマンションの管理規約を確認するといいです。
Ruhezeitについては、ラジオ関西トピックスラジトピでの弊社記事をご覧ください。
閉店法(日曜日・祝日の全店休業)
ドイツでは、日曜日および祝日にすべての店舗が休業する「閉店法」という法律があります。この法律により、企業はもちろん、スーパーやドラッグストア、全ての店舗が日曜・祝日は休業のため、街は閑散としています。ちょっとした買い忘れがある場合、渡独当初は不便に感じることもありますが、慣れてしまえば問題ありません。また、アーヘンのようにオランダに近い地域では、オランダは日曜日も営業しているため、買い物には困りません。
日曜・祝日でも営業している店舗
- 中央駅併設のドラッグストア、パン屋など(短時間の場合あり)
- レストラン
- KIOSK
水道水・飲料水
ドイツの水は硬水です。水道水も飲めますが(地域差があります)、日本人には苦手な味かもしれません。浄水フィルター「BRITA」がスーパーで手軽に購入できるのでおすすめです。水道水を注ぐだけで、売っている水と大差ない美味しい水になります。
スーパーでは、ほとんどの水は6本パックで販売されています。1本だけ購入したい場合は、そのパックから1本取ります。6本パックの封を開けても問題ありません。
ドイツでは普通の水よりも炭酸水の方が人気です。「普通の水が飲みたい」と思って購入したものが炭酸水だった、ということはよくあるのでお気を付け下さい。
ドイツ語 | |
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炭酸無し | still / ohne Kohlensäure |
炭酸入り | Sprudel / mit Kohlensäure / Klassisch |
微炭酸入り | Medium |
ペットボトル・瓶のデポジット制度
スーパー・ドラッグストアで販売されている飲料のほとんどに「Pfand(デポジット)」が付いています。商品の価格にデポジット料が含まれており、瓶や缶を回収することで、そのデポジットが返金されます。空のペットボトルをスーパーの専用回収機に入れると、少額のクーポンが発行され、スーパーでの買い物に使用できます。お金も返金されて、環境保護にも貢献できる、とても良い制度です。ペットボトル・瓶は捨てずに回収しましょう。
瓶・ボトルのリサイクルの仕方についてはこちらをお読みください。
食事
朝食と夕食は、パン、チーズ、ハム、サラダ、フルーツなどの簡単に食べられる「冷たい食べ物(Kaltessen)」、昼食はスパゲッティやハンバーグ、シュニッツェル(とんかつ)など「温かい食べ物(Warmessen)」です。
バーベキューが盛んで、自宅のパーティだけでなく、地域やマンション、学校や幼稚園のイベントとしても行われます。バーベキューに招待された際には、日本の一品(唐揚げや枝豆など)を持参すると喜ばれます。家庭でバーベキューをする際は、Ruhezeit(ルーエツァイト)に注意してください。
お米
デュッセルドルフのアジアンショップでは、日本産やイタリア産の日本米が手に入ります。地元のスーパーでは、「寿司ライス」が売っているのでおすすめです。味や食感は少し違いますが、日本米の代わりになります。ただし、炊いたらすぐに食べないと固く黄色っぽくなるので、できるだけ炊きたてがいいいです。
洗濯機の利用時間と干す場所
ドイツでは、Ruhezeit(ルーエツァイト)に基づいて、各アパートや地域で洗濯機の利用禁止時間があります。例えば、「日曜日は終日利用禁止」「夜20時以降は使用不可」といったルールです。契約書や利用規約に書かれているので確認してください。
洗濯機と乾燥機は、家の中に置けることもありますが、だいたいは地下に置きます。また、洗濯物は外に干さず、室内や共同の洗濯室に設置された物干し竿を使用するか、乾燥機を利用します。ただし、景観を損なわなければ、ベランダなどに干してもいいアパートもあります。
エアコン
スーパーや公共交通機関、大学、企業などにエアコンはありますが、一般家庭にはありません。ドイツの家は、断熱性能が優れており、外気温の変化を受けにくいため、夏でも比較的涼しく、エアコンがなくても快適に過ごせます。
近年は30度を超える日も増えてきました。昼間は窓を開けても暑さがこもりがちなので、扇風機があると便利です。夜は窓から涼しい風が入りますが、虫が気になる方は扇風機が安心です。真夏は扇風機が売り切れてしまうので、早めの購入がおすすめです!
子供とワンコ
ドイツは子育て世代には非常に優しい国です。公共交通機関では、幼い子供が騒いでも周囲の人が優しくあやしてくれたり、駅やバスでバギーの上げ下ろしを手伝ってくれることが多く、親にとって心強いサポートです。また、マンションやアパートでは赤ちゃんの泣き声に対して苦情が出ないため、安心して育児ができます。
犬にとってもフレンドリーな環境で、レストランやカフェでは犬用の水が提供され、デパートや家具店にも連れて入れます。残念ながらスーパーやドラッグストアには入れませんが、入り口にリードをつなげるスペースがあります。
配達
不在時は近隣住民が荷物を預かることが多く、不在票が入っていたりなかったり、、、不在票がない場合は近所の人が届けてくれます。スーパーには置き配ロッカーがあり、そこで受け取ることもできますし、近くの郵便局を指定して受け取ることも可能です。
日本から荷物を送る際は税関手続きに注意が必要で、ストップすると非常に面倒なため、事前に送り方や送料を確認するといいです。
博士号取得者(ドクター)
ドイツでは、博士号取得者(ドクター)は、社会的地位が高く、特別な存在です。家のネームプレートに「Dr. xxx」と書かれたり、幼稚園や学校の先生の紹介欄に「Dr.xxx」と書かれたり、特別感満載です。また、日常生活のさまざまな場面でも重要視されています。例えば、駅の駐車場予約や幼稚園の申し込みサイトなどでは、ドクターかどうかを選択する欄が設けられています。信頼を得たい場合には一つの手段になります。駐車場の予約に必要なのかは分かりませんが、、、
治安
どの州でも、中央駅周辺は治安が良くありません。デュッセルドルフの中央駅周辺やメイン通りでは、麻薬中毒者や飲酒者が多く、明け方には道端に注射針が落ちていることもあります。また、アーヘンでも、一部地域では麻薬が流通しており、中央駅周辺では空き瓶が転がっていたり、朝から飲酒している人が話しかけてくることもあります。
スリ
在ドイツ日本国大使館によりますと、「身近な犯罪であるスリ、置き引き、ひったくりなどは引き続き高い水準で発生しており、人口10万人あたりの犯罪発生率は、日本の約10倍となっています。」と発表しています。
レストランで席を離れる際は、必ず所持品を持参し、バッグはしっかり閉じられるもの、特にチャック付きがいいです。スーツケースを持っている場合は特に注意が必要で、目を離した隙に取られることがあります。大都市ではスリ被害が頻繁に報告されており、中都市アーヘンでも同様の話を聞くことがあります。どの地域でもスリや置き引きに注意しながら行動するといいです。
医療
ドイツの医療は日本同様、高水準なので安心です。どこの医院も、緊急でない限り当日予約は難しいので、少し常備薬を日本から持参するといいです。
風邪をひいた時、大人はハーブティーを飲んで自宅で休むことが一般的です。薬が必要な場合は、薬局で相談すれば、症状に合った薬を処方箋なしで購入できます。小児科は、すでにかかりつけ医が決まっていれば、当日または翌日に予約が取れます。かかりつけ医を見つけるまで(初診)には時間がかかるので、渡独後すぐにかかりつけ医を見つけるといいです。
抗生物質は処方されず、風邪の場合は咳止めや鼻水止めが処方されます。インフルエンザの場合、解熱鎮痛剤(イブなど)が処方されます。
語学に不安のある方は、デュッセルドルフの医院や薬局では日本語が通じるのでおすすめです。
ホームドクター
ドイツの公的保険では、ホームドクター(かかりつけ医)制度が設けられています。近所の内科を一度受診すると、そこがホームドクターになります。ホームドクターは簡単には変更できないため、慎重に選ぶといいです。休診日に他の医院に行きたくても診てもらえなかったり、もし受診できてもそこが新たなホームドクターになる場合もあります。
人間ドック
ドイツでも人間ドックを受けることができ、内容、料金ともに日本と同じぐらいです。補助金額は加入している保険会社によって異なるため、必ず受診前に確認してください。
デュッセルドルフ近郊に住んでいる方には、ノイゲバウア馬場クリニックがおすすめです。日本人とドイツ人医師、2人とも日本語を話せるため、丁寧に検査を受けることができます。
保険
保険は日本とは全く異なり、公的保険かプライベート保険と分かれており、どちらかに必ず加入する必要があります。詳しくは下記をお読みください。
文:レンガ
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